蜘蛛とチェルシー/さつき
 
蜘蛛を見た。

ぼくの左手の親指くらいあるんじゃないかな。
階段下の納戸の天井の隅っこで
何本もの長い足をピクリとも動かさず
じーっとしてた。
パパは、一昨日の夜も同じ場所にいたよって言ってたから
昨日は一日中ずっとあそこにいたんだ。

今日見たら、いなくなってた。
せっかくチェルシーを分けてあげようと思ったのに。
バター味は嫌いだったのかな。
ぼくはヨーグルト味より好きなんだけどな。

ぼくは一粒剥いて食べた。
ガリガリとチェルシーを噛み砕く。
甘い甘い破片が口の中でバラバラに広がっていく。
楽しいな。美味しいな。気持ちがいいな。

そっか。
あのこはこんな大きな飴は食べられないか。

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