真夏の菓実/佐倉 潮
「あたしはいつか溶けてなくなっちゃうの」とチュパチャップスは言った。
「俺だっていつか齧り尽くされてなくなっちゃうんだぜ」とキットカットも言った。
「そっか、あんたも」チュパチャップスは同情したように言った。「なんでなんだろね、あたしたち」
「そりゃ決まってるさ」
訳知り顔でまたキットカットが言った。
「どう決まってるのさ?」
チュパチャップスは真剣に尋ねた。
「形あるものはいつかなくなるものさ。一切は空である」キットカットは嘯いた。
「何よ、それ? 聖書?」
「君こそなんでそんなことが気になるのだい? 全く仕方ないことだぜ」反対にキットカットが尋ねた。
「分かってるわよ。
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