タマシイの地下室/ゼロスケ
1
ロケットエンピツになりたいけれど
あんまりアポロンは遠すぎる
ノートから顔上げて
頭から落ちそうな地下室へ下りて
天井まである古い冷蔵庫に触れ
ナマの中身に話しかけた
身体の底を照らすウェヌス
それを安酒で回す洗濯機
本当は違う
宇宙でもない……
2
秘密の球根に抱かれて胡桃腺が甘くなる 蒸し暑いのです
柔らかい脚はもう静まって辺獄(リンボ)に近いので
根は砕かれた喉をめざす 何が逆さまの真球に芽生えるか知らない
肋骨が憶えているのは天体の名前と所属だけだから
子午線を遡って渦動する根は耳孔をつらぬき 眼路の闇に拡がったのは
まるで集まった埃をはたく斜光 深海へ落ちてヒビいった白熱電球の悲鳴です
3
汲み上げてこめかみの脈打つ声がきこえる
時計の他に機械じゃなくなったモノはある?
電算機、オレンジ、歴史、それから人間も?
血の気失せたソレイユ換気扇にひとひら
――階段の底から、暗く湿った風が登ってきた
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