街の灯/……とある蛙
今日の終わりの夕暮れに
街は開店前の呑み屋のようで
ぽっぽっ ぽっぽっと
灯が灯る
昌平橋から見上げる高架
縄のれんのような柳の木
ぽーっと灯る提灯脇に
昭和の夕暮れ 宵の口
レンガ壁の高架下
洒落たスペインレストラン
並びに映る赤提灯
焼鳥屋の煙る夕暮れは
家路に急ぐ所帯持ち
帰るに帰れぬ訳有り爺
酒の力で家路にたどる
帰りゃストレスまた溜まる
少し寄り道赤提灯
くぐる煤けた縄暖簾
ちょっと一杯お銚子一本
飲めば飲むほど遠くなる
帰る時間に決まりなく
居汚く飲み続け
くだ巻きそのまま夢の中
猪口を持て夢の中
ポツリポツリと消えて行く
街の灯りが消えて行く
[グループ]
戻る 編 削 Point(14)