シネマトラジック/黒川排除 (oldsoup)
 
けられたのだから人々は騒ぎ出した わたしとよそびとたちは接地した側面を足場にして器用に立ったり横倒しになった席にむりやり腰掛けたり肥満した女性はおもしになったりしていたが 突然虚無僧がカーッと言ったので人々は余計にうるさくなった 家族でもない十数人がここにひとかたまりになり断続的な時間を過ごすのだった よそびとたちはこの緊急の施設をシェルターと呼び始めたが 雨が降ると思いっきりずぶぬれになるのだった しばらくして人々がようやくこのバスを何か慈悲深い目でそっとし出した頃 近くの川沿いのガスタンクが爆発し爆風が雑多の人々を北極へ運んだ がたがた揺れるシェルターの中でわれわれ全員が腕時計を見た 彼女の残したメモ帳にはそんなの当たるわけないじゃないと書いてあった
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