ひくちから/さつき
 
たとえば、
精密に作られたメトロノーム。
大きく右へ、大きく左へ。
素早く右へ、素早く左へ。
常に同じリズムを刻むために、
右へ振れたのと同じ分、左にも振れる。
ゼンマイが切れるまで、ずっとずっと
カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ。

たとえば、
あり合わせの粘土と紐で作った振り子。
大きく右へ、大きく左へ。
次第に次第に
小さく右へ、小さく左へ。
ゆらゆらゆれて、やがて
最後に重りはピタリと止まる。

誰かが言った。
「地球に愛されたから、振り子は重力に引っ張られたんだろう」

人間はどちらだろう。
大きく右へ振れたら、大きく左へ戻ってしまうのかしら。
それともゆらゆらゆれて、最後は止まれるのかしら。

私は地球に、愛してもらえるかしら。

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