声/
カワグチタケシ
ゆかりのある人たちのむれをぬけて
すべる大地を軽くふんでいく
遠くに小さなあかりがあって
それは僕たちのようにもみえる
あ、いま僕たちって言った?
声が聞こえた気がして立ちどまる
無音の雑踏のなかを
声はすりぬけていく
ちゃんと理由があって
ほしいものをさがして
僕たちはここにいる
そして、拾い集めている
いそがしい人たちのために
かき消された声を僕たちは
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