Queeeeeen/salco
 
に苛まれる方がましというものだ。
 北風になぶらせて火照りを鎮めねばならぬほど毎晩汗をかき、懐妊中よ
り頻尿になったことで浮腫が多少は改善したにせよ、これだけ水分が出て
行ってはどんな果実も萎むはずで、今度ばかりは女王も無辜の犠牲を払わ
されたわけだった。

 犠牲をしまうと女王は言った。
「そこでじゃ。験能あらたかな薬湯を全部お前に戻してやろうとも考え
た。しかしそれでは生温かろう。お前は首を刎ねられたいか」
「ははっ。いえ畏れながら、女王様」
「そうであろうな。では赦してつかわす」
「……えへぇぇぇ!」
「明日にもみまかる老いぼれなど殺したところで何になる。のう?」
「はははっ。まことに有難き大御心、勿体なくも尊きお慈悲、何と御礼申
し上ぐればよろしいやら言葉も」
「お前は今より兵卒じゃ。さそくに練兵場へ赴き、至心の何たるかを教わ
るがよい」
「……畏れながら、今何と」
「話は済んだ。連れて行け」


                              つづく
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