Queeeeeen/salco
りもない筈であったのに、予想だにせぬその後の品質管理
が大きに障るものであったのだ。
それは幾日かを寝て暮らした後、高窓からの冬日が耶悉茗(まつりか)の花の如く降
り注ぐなか乳香と蜂蜜を溶かした浴槽で洗い上げられ、生まれ変わったよ
うな気分で化粧の間に立った時だった。
凝然と姿見に見入っていた女王が卒然と金の水差を取り上げ投げつけた
為に、鏡の魔力が粉々となってしまったことも障ったのであろう。背後で
寛衣を着せかけようとしていた侍女は振り上げた鈍器の直撃を顔面に受
け、姿見を支え持っていた侍女は後ろざまに跳ね飛ばされ、おのがじし鮮
血と雲母の溜まりに昏倒したのが
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