国道 点滅する信号線/ブライアン
何週間ぶりだろう。夜、走りに出かけた。
走り出して直ぐに気がついた。季節が変わった、と。アップダウンの多い住宅地の間、短い間隔で等しく並んだ蛍光灯の光が緑色を帯びているように見える。敷地に植えられた生垣の葉のせいか、鱗雲の隙間から見える月のせいか。体に当たる風は生暖かくも冷たい。満員電車の中、触れ合う見知らぬ他人のような感じだ。何ものでもない、ただ其処に何者かが走っているだけ。体を突き抜けるようにして触れ、通過し、体だけを置いていく。
もうずっと前に、秋の気配を感じていたのかもしれない。少なくとも、天気予報士はそんな素振りだったし、会社の同僚も秋だなあ、なんていっていた。住宅街の交差点、
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