ある日の現場で/番田
帯がベッドの下には1ロールほど入っていたことを思い出した。デスクに入った椅子はスペイン製の、何か足の恐ろしく華奢なやつだった。ちなみに、1プレイ500円で、40玉ほど箱に出てくるということだが、最近の練習場にしてはかなりお得な値段だ。
街は、もともとスラムのような、出稼ぎ労働者の居着いたようなところだったが、カラオケのマイクの製造でその産業は火を噴いた。当の犯人は金銭的理由により、安物しか買えなかったのだろうと想像したのだが、街には時折、黒塗りの車が現れて、見回すとサメのように辺りをじっと徘徊していたりもする。現場に残された血の付いたナイフは中国製ということでもある。私の実の親もカラオケ
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