庭/Akari Chika
 
より
相応しい慰めを得る

耳は毒
だから
封じて

美しい庭だけを 見つめている

私は 路上に捨てられた缶から
芽が出ることを 知っている

何も
ない
誰も
不在

そういう場所にこそ 奇跡がある

だから私 目を伏せて
頭を 空っぽにする
心まで 無にする

いつか その場所から
庭が生まれたら

優しくなれる 気がしてる

抱きしめた膝に
影が落ちて

天体の中心に 居るような 心細さ

それでも
風に弾む
一輪の 花から
誰の答えより
相応しい慰めを得る

愛されていく
そう感じている

いつか 時が過ぎ
変わり果ててしまっても
この庭だけは
美しいまま

そう信じている 今



戻る   Point(2)