グラウンド、時のとどろき/みぞるる
風に揺れるカーテンに
包まれながら
あたしひとりだけ
まるで黒点のように
体温が低かった
ずっと遠くで
白い線に沿って走るあの人は
なにに急いでいるんだろう
うんと解像度の高いレンズ越しに
きみを眺めてみたかった
思い出だけは悲しくなるほど綺麗なんだ
ほこりは時計に気付かれないまま
あの人のまわりをゆるゆる浮き続け
真っ白のノートとシャープペンシルが
あたしの後ろに佇んでいる
風に揺れるカーテンに
包まれながらあたしは
ただただ青い空に鳴り響く
飛行機のとどろきに
じっと耳を澄ましていた
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