泣き顔/……とある蛙
 
泣き顔が
僕の世間の片隅で
次第次第に数が増え
しかも奴らはでかい顔
僕の居場所を奪ってく

泣き顔が
僕の世間の真ん中で
どんどんどんどん数が増え
しかも奴らは湿っぽく
僕の顔も濡らしてく

泣き顔が
僕の世間のほとんどで
嫌になるほど数が増え
しかも奴らはしつこくて
僕の見える場所にいる

泣き顔が
逃げても逃げても追ってくる
数だけでなくでかい顔
しかも奴らは恨めしく
僕に何かを言いたがる

泣き顔が
僕の世間を全て食い
嫌になるほど貪欲で
しかも奴らは健啖家
そのうち僕を喰いたがる

泣き顔が
そのうち全部固まって
もっと大きい泣き顔に
僕の世間のほとんどは
奴に喰われて糞まみれ

そのまま世間から消えようか
出てきた世間を喰らおうか
それとも自分が泣き出すか


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