インクルード/乾 加津也
星もなく
ふあんに耐えかね
肩にくいこむ夜をおろすと
知らない山のほうから遠吠えがきこえる
呼んでいる
/存在(たいしょう)ではない たしかに
よばれている
脳天から電光石火よびさまされた
おもいだした
月の燃えるあたり
背中をむけといわれ 渡された
つめたい消火器がバトンのように
便座のように
「赤」を土葬した
焼かず
晒さず
重ねず
触れず
いたいたしくこちらを見ないように目を刺しとおして
たくらみを否認して
飢えた土塊に髄までしゃぶらせようと
膝がない
(塹壕だ)
穴をのぞけない
漁り火の眼光だあわてて橙にして
生き血をかくす
大変
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