花のゆくえ/吉岡ペペロ
 
参列者たちの白菊が

たどたどしく棺のなかに置かれてゆく

係の女がさいご

華やかいろの献花で棺をあふれさせる

そしてそこにふたを載せた


いちばん気掛かりだったのは

花のゆくえだ

遺体はただの亡きがらだ

しかし花は

ただの亡きがらではないような気がした

花のゆくえを教えてくれるひとはいなかった

あらゆる哲学や宗教、科学は

花の咲くまでを教えている

花が咲いたあとのことについては黙している


参列者たちの白菊が

たどたどしく棺のなかに置かれてゆく

係の女がさいご

華やかいろの献花で棺をあふれさせる

そしてそこにふたを載せた




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