現実/さつき
疲弊して磨耗した声帯を誤魔化しながら必死で笑ってた
本当の言葉なんていつの間にか出なくなってたけど気づかない振りをしてた
いくつもの脳細胞が眠りこんでしまったこんな日には
疲弊して磨耗した水晶体を誤魔化しながら必死で見てた
本当の景色なんていつの間にか見えなくなってたけど気づかない振りをしてた
いくつかの神経細胞が覚醒してしまったこんな夜には
理性なんて放り投げて叩きつけてぐちゃぐちゃにして
本能で、本能で、本能で生きて
疲弊して磨耗した横隔膜を誤魔化しながら必死で息してた
本当なんて知りたくもないから逃げて逃げて知らない振りをしてた
いくすじかの血管が音を立てて生
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)