ひとつ ほとり/
木立 悟
緑を呑む
他のひとしずくを残し
ふるえは消える
瞬でさえなく それは消える
視界のかたち 二重のかたち
針の先の野
羽のある生きものが
みな歩いてわたる野
鉛の筆と鉛の槍
蜘蛛も蚊もひとしく降りつもり
やわらかさに爪を立てる
ひとしさにひそやかに 爪を立てる
尖り分かれる辺のゆく先
伸びることなく延びつづけ
そのものがそのままで在る暗がりを
そのままにそのままに受け入れてゆく
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