新宿/
吉岡ペペロ
で掃除機をかけたり
体育座りをしたり
そわそわと整体師さんのまわりを動いていた
僕はそれを愛しいと思っていた
整体師さんもそう思っていた
僕も整体師さんもそのことは口に出さなかった
新宿はひとをたいせつにしていなかった
ひとの多さがそう感じさせるのか
いや、ひとのながれがそう感じさせていた
僕のたいせつなひとのたいせつなひとを
この街にひとりで来させるようなことだけは
したくない、新宿のひとごみのなかで
僕はかなり真剣にそんなことを考えていた
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