きりん草/
佐倉 潮
うに足を動かして、駐
輪場まで歩いてゆく僕。自転車の前で立ち止まるとフ
ェンスのすぐ脇に、黄色のつぶつぶの花を付けた植物
が生えているのを見つけた。
きりん草。五年間こうして通っているのに気付かな
かったとはね。知れば近づいてくる。草でも人でも、
それは同じことだ。
今朝、十月を知ったよ。君は、どうしてる?
肺に息を入れて、そんな手紙を空に、投函してみる。
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