妄想都市/しゅう
砂鯨はありふれている
都市の外周壁は、理性を囲う
その外で、私は妄想を追う
天体の運行が、おもむろに歪む
歩みに夜が混じる
廃棄された夜景を拾う
触れた先から崩れていく
風景は一刻を争う
爺ちゃんはこれを蜃気楼と呼んだ、
という妄想
箱庭を営むことは、ステータスになる
ひと時に風化する
ひとの思考を刻む手仕事
そう信じる人は旧時代の彫刻で、
感情をまだ獲得していない
私以外の言葉が、
私をとどめている
空白に満ちようとする
身体を、
繭の中でのたうつ世界を、
拮抗させる、何者か
砂鯨はありふれていてよい
理性は壁の内側にいなさい
もう夜が来るよ、星を見てみたい
こんな景色を望んでいたわけじゃないんだ
箱庭で生きていた
けれど、目が覚めたんだ、僕らは
私以外のあなたについて、考えてしまうんだ
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