視覚/瀬崎 虎彦
 
街が滅ぶ前に
草原へ移動した
光を失う前に
海を見た

右目だけで出会う世界に
違和感は覚えなかった
走り出すときに半身を
庇うことを除けば

音楽が鳴り止まない
バランス以前に音が
鳴り続けているからよかった

取りこぼしても取り返せるなら
これほど悔いることがないだろう
僕にとっての視覚はそれ以上だった
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