視覚/
瀬崎 虎彦
街が滅ぶ前に
草原へ移動した
光を失う前に
海を見た
右目だけで出会う世界に
違和感は覚えなかった
走り出すときに半身を
庇うことを除けば
音楽が鳴り止まない
バランス以前に音が
鳴り続けているからよかった
取りこぼしても取り返せるなら
これほど悔いることがないだろう
僕にとっての視覚はそれ以上だった
戻る
編
削
Point
(5)