こんや宇宙の降るへやに/吉岡ペペロ
いもうとが泊まりにきていた
二十年まえあたしが守ろうとした女の子だ
ガレージのすみでしくしく泣いていた女の子だ
ホコリっぽくて湿っぽいガレージ
そこは薄暗いだけでやみではなかった
お父さんとお母さんの仲はこわれていた
問題はお母さんにあるのに
あたしたちはいつもお父さんを責めていた
ふたりがわかれるまでずいぶん時間を要した
わかれてしまうことに反対していたのはあたしだ
お父さんとお母さんの内にもまだ
希望のようなものがのこっていたのかもしれない
あたしは高一から家をでた
全寮制のスポーツで有名な女子高にきめたのは
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