●●●●の回帰/リンネ
ようやく着いたかと安心していたが、よくよく見れば全く別の場所にいるようなのである。四階建ての白い建物が横一列に四棟並んでいる、というところは同じなのだが、果たしてこんなにツヤのある壁だっただろうか。屋根の色もなんとなく鮮やか過ぎて、印象派画家の描いた絵をそのまま立体化したような見た目である。
どうもオカシイ。よく知っている気もするし、まるで見覚えがない気もする。キツネに抓まれるというのはこういう気分なのだろうか。たしかに同じ団地内であることは確かなようだが、もう一度辺りを見回してみても、どうにも違和感を感じる。あんな公園はあったろうか。小さな子が砂場で立っているが、あ
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