陰湿機/「Y」
り場に置かれるべきものかもしれないんですが」
「へえ……まあ、陰湿機と除湿器とでは語呂は似てるけど、用途が全然違うもんねえ」
「ええ、そうなんです。ところが、医療品売り場の方からは、こういう変な機械は置きたくないと、反発を受けまして、実は私も困っているんですが、一応は私が陰湿機担当ということになっておりまして」
私は咄嗟に彼の胸に貼られた名札を見た。「加藤」と書かれている。まだ二十歳台半ばだろう。目が小さく、おちょぼ口で、顔の中心部がめりこんだような顔の作りになっていて、ひょっとこを連想させる顔の持ち主だった。
「へえ。たいへんなんだねえ。だけどさ。こんなものを使ったら、まずいことになる
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