構造/乾 加津也
 
わたしへん
ものに執着しても
ちっともものと思っていないんです
はだかにしてとうめいにして
ギリギリの「アル」になるまで
投げて、こわして、きずつけて、ためします

それにくらべて
ことのは
とりとめもなく気丈ですね
小川の底の小石いくつも
めだたない力で光の糸を怪しく手繰って、ままよと
かたちもまるく、むすぶんですから

みる
きく
さわる
そんなわたしも
肩たたかれたらふりむくじゃないのよ
一言でというから
筆談で
「呵責」
しか浮かばず

言霊ぶよぶよ
ひろがる海に
鬼のかおして溺れるじゃないのよ

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