保健室のこと/はるな
 

ときどき、自分がいままでどうやって生きてきたのか思い出せなくなる。
たとえばそれはセーターを編んでいて、順調に右肩まで編んだところで突然、鈎針の動かしかたを忘れるようなかんじ。右に編むのか左なのか、糸をすくうのか捩るのか、あといくつで次の段になるのか、とにかくもうなにもわからなくなる。それは突然来る。

重要なのは、たぶん、自分自身のやり方に関することだ。わたしが、どのようにわたしをしていたのかだ。他のひとのやり方はあまり参考にならない。
わたしは、崩壊寸前のなにかを、それが何なのかわからないまま必死に保とうとしているきもちになる。物事をそれがあるべき状態に保つことは、常に優先される事
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