リート風に/Giton
 
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何度試みても詩にできないあなた
あなたには散文がふさわしい
あなたの詩のような生涯あなたの詩のすがた
それを心に描くことができない
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なぜならいつもあなたを探しているぼくは
決してあなたをとらえることができなかった
いつもぼくの前を歩いているあなたは
ぼくの未熟な詩から進み出てしまうのだった
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いつか流れて行ったあなたを追って
すべてを振り捨てて訪ねたことがあった
あなたはしばし沸き返りぼくを喜ばせ
そして又た流れ去るのだった…
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あなたがいま短い生涯を終えて
小さな青い箱になって帰って来たとき
ぼくにだけあなたはほほえみかけて
ぼくの掌のうえであなたは詩になった
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