夕暮れに似合う歌/真島正人
 

本当の夕暮れは
いつも僕を追いかけて
僕を悲しくさせる
二つあってそれらが
一つにならないことをさし示して
空の赤さから
僕を射程して
何か空白のような目に見えないものを
放り投げ続けていた

唐突な出会いだったのに
人を愛せなかった
僕はおおよそ24時間無力で
若いのに
道端にしゃがみこんでいた
黒い服ばかり着て
いろんな色を吸収していた
画用紙にいろんな色をつぎ込んでいくと結局黒くなっていくのに
結局黒くなっていくのに
結局黒くなっていくのに

仲のいい二人は
今は離れ離れになって
新神戸駅の夕暮れから
どれぐらい遠く
離れているだろう
夕暮れは
黙って頭をうなだれて
意地悪そうな目で
僕を慰める
唐突なことが
いくつ重なったって
奇跡とは違うんだって
教えてくれたら
僕は歌を歌うだろう
夕暮れに似合うような唐突でへんてこな歌を


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