君のスウィート・テンタクル/海里
 
ボルヘスが書いたのは「八岐の園」で
リンゴ・スターが歌ったのは
「オクトパス・ガーデン」

わたしは猫の手を借りながら
章魚の花壇を作ります

その手ちいさなもののけたちと
小魚の池も作ります

土壌は泥鰌に任せましょう
花は自分で咲くでしょう

お月見泥棒、芋泥棒
秋には多幸症気味の章魚たちですが

水の揺り椅子を揺らせていた方
橋を描く方
どこへ行かれましたか

それでなくとも十月は黄昏の季節
旅立つ者と残る者とが
静かに別れる季節ですのに

 
「オクトパス・ガーデニング」のために。

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