十月に/角田寿星
 

ブルドーザーには菜の花がよく似合う
はずだったのに
背の高い草にかこまれて
しんみりと秋の花が咲いていた

あおいカーヴをえがいてぼくたちは
しろい凧のように伸びたりちぢんだり
拡散したり鏡を並べたり唄ったり乾いたり
かわいたりかわいたりかわいたりかわいたり
して

そびえたつぼくらはオベリスクに刻まれたままの頌歌なんだ、
ここもまたニセモノとウソツキが跋扈する童話のなかだったんだ、
愛を語ることばの羅列はもうやめてくれないか聞きあきたんだ、
きっとそれは閉塞した世界と世界をつなぐワームホールなんだ、

きっとそれは
いやはっきりといおう蒼穹には何もながれてやしない
何もないあおいあおいカーヴだった

あおいカーヴだった
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