どちらにしても風は吹き続けるのだから/ホロウ・シカエルボク
わたしのなかを
あなたのなかを
風がいちど
吹きぬける
あつくもなく
さむくもない
温度とは
呼べそうもない風
放浪、漂流、点在、葬送―住み処を
持たぬものたちには
すべてが
住み処でもある
わたしのなか、あなたのなか、吹きぬけてゆく
風
語らないものこそが
すべてを教えるのだ
心の衣類を捨てて
誇り高き輝きを見せなさい
肉体を持たぬ心なら
それは神だ
わたしは夜をあきらめて
指先のみで詩を紡ぐ
渇いて、きしむ眼(まなこ)の
浅いすり傷は
感情
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