白い白い土蔵のなかで/吉岡ペペロ
くんが助けてくれたことがある
やめろよ、な、
伊藤くんは足が悪かった
伊藤くんは松葉杖をついていたのだが悪ガキたちは伊藤くんの凛とした声に恥ずかしくなったかのように去っていった
石川くん、大丈夫か、伊藤くんはそう聞いてくれたけれど僕も実は恥ずかしくなっていた
伊藤くんは足が悪いのだ
僕なんかよりも喧嘩は弱いに決まっている
たくさんいたから勝てたんだよ、伊藤くんはそう言った
むこうがひとりとかふたりだったら、ぼくたちはぼっこぼっこだったよ、
僕はなんで?とその理由を聞いた
たくさんひとがいたら、正しいことが通ってゆくもんなんだよ、
僕
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