安いメロン/アラガイs
 

冷蔵庫のなかで安いメロンを抱えています

やわらかくなるまで

実は新鮮な果物が食べれないのです

くしゃみが出てくればそろそろ短い夜も終わり

熟睡の季節に
あなたのこと
うらみます

風に煙を捲くように
甘く壊れながら
死んでも
死んでも
うらみます


軒に群青色の靴下は乾きました
腫れた寝顔の朝にはお水を二杯飲み

安い果物は熟れるまで食べないで置きます

打ち明ければ
実はお店の棚から簡単に仕入れるような
恋ばかりしてきました

安いわたしが
少しでも甘くなるように
蝿がまわりを飛び交いながら
罅枯れたからめる

脳を活性化させたい
でも
あの味を
忘れるつもりは
ありません



空露がまわる
そう
冷蔵庫のなかで
薫らないメロンを
ずっと腐らせています








戻る   Point(2)