ある日の日のこと/番田
誰も知らない湖の脇を、ひとり言葉を無くして私は歩いていた。あなたは子供のようだったけれど、でもよく見るとそのようには思えなかった。だからあなたはきっと僕の友達なんだと理解した。僕にとってきっと、身近で親しい人間なんだと思わされたー。僕らの見ているこの森の霧がこの湖の彼方に見えなくなってしまうまで、だからどこまでも手を取り合って、歩いていったー。
*
そんな言葉をつぶやいた私の口の中には甘みがあって、かつ酸味があってとてもうまいと思った。私は最初の日にそこで手に取ったサクランボの一房を口にした。秋の日とは、こういった窓の風景の色をさすのだ。言葉に出された窓の外はとても青かった。わたしの顔
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