大統領/salco
 
黒いサングラスをかけて見れば
世の中真っ暗だ
青いサングラスをかけてみれば
太陽さえ病んでいる
だが世の中終わりじゃない。
黄疸の赤ん坊は黄色いミルクをよく飲むし
血まみれの群集は市営プールを泳ぎ回り
蒼白の女達は籠一杯の買い物をしているし
黒焦げの老人達は開いた新聞の裏側を読んでいる
時計は何の為にか針を進める
教会の鐘が町の上をゆったり流れる
ベンチの上に木の葉が落ちる
西日が溺れて闇が来る
だが世界の終わりじゃない。

私は鞄を抱えてせかせかと、
会社から出てアスファルトの家路を急ぐ
頼まれた買い物の袋をもう一方に提げ
コンクリートのアパートの鋼鉄のドアを
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