寂寥/寒雪
 


寒々しい棘が
いちいち目の端に溶け込もうとする
裸の地面を踏みしめて
遠くで頼りなげで
幽かに揺れる街の灯を見下ろす
生ぬるいそよ風が通り過ぎるたび
背中を抱えて連れていこうとする
猫背を真っ直ぐに伸ばすと
儚げな肉体が
屈強であることに気付かされる


二分前に脳味噌の中
優しく浮かんだシャボン玉は
雰囲気に身を任せて
右に左に鮮やかに踊る
灯に交わると
虹色の輪が弱々しい輪郭を携える
弾けて消えそうな
シャボン玉を握り締めると
手のひらを真似て
目の前でステップを踏む


見開いた瞳に
終わることのない夜景
月はいつまで満月でいられるのか
シャボン玉が右脳の闇に問いかける
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