スペインの夜/吉岡ペペロ
 
真向かいにすわると遠く感じられた

目をあわせるのが居心地わるかった

スペインの夜はにかいめだった

ぼくはまるで中二の秋だった

彼女のうしろでは予約客たちが

食事を楽しまんとしているところだった

髭の上司や髭のナンバーツーっぽいひとが

笑いながらほお杖をつきながら大人だった

ぼくはこんなに美しい彼女をまえにして

まるで中二の秋だった

そのことを知っているのは

給仕のおんなとぼくと彼女だけだったはずだ





戻る   Point(1)