耳の岸辺/海里
 
ただ言葉たちの声を聞く
作者が託したはずのものなんか知らない

ただ言葉たちの姿かたちに
目をみはる

文字でも
文字じゃなくても
いつも不思議に美しいそれら

ソロモンの指輪とか
ローレンツの聞き耳ずきんとか
もしもあったら使うかい?

これをかぶると
作者のナイジツが聞こえますなんて
そんな聞き耳ずきん
いらない

ほら、きえていくものたちから
きこえてくるもの

詩のシソーラスはね、世界。

 
「色鉛筆のためのパレット」より。

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