Smoky rain/Akari Chika
黒塗りの雨が心地良い
静かな夕立
水びたしの街
揺れ惑う灯りだけ
ひとりぼっちの僕を見てる
光が洩れた
バスルーム
子供の声が
はねかえる
ファミレスの奥で 語り合う人々
コンビニから出た 手を繋ぐ男女
その幸せを
貸してくれ
仮の幸せで
いいからさ
ふがいない言葉に 身を委ねたくなる
土砂降りの中で
満月を見つけて 立ち止まる
マンションの
最上階
暗闇に
唯一灯された光
それは
鍵穴の空いた胸に
ぴたりとはまる光
碇を下ろして 夜を待つよ
水びたしの街
揺れ惑う灯りだけ
ひとりぼっちの僕を包む
鉛のように
くすぶる空
鳥の叫びに
むせかえる
途切れたはずの雨音が
ひそやかな闇と 光を結ぶ
その幸せを
分けてくれ
端の幸せで
いいからさ
忍びない言葉と 泥沼を抜け出して
夜へ漕ぎ出す
水びたしの街へ
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