10月の朝/吉岡ペペロ
 
めざめると午前のひかりがくっきりとしていた

きょうの天気をもう決めたかのようだった

ベッドわきのまどをすこしあけて

ベランダもあけるとカーテンの透き間から

ひらべったい雲が水いろに浮かんでいた

ゆうべ愛したおんなの足が

あたたかくてつるつるとしていた

風の音がした

カーテンの音のような気もしたし

木々の葉ずれの音なのかもしれない

おんなが手をきんたまにすべらせて遊んでいた

風のなかに金木犀の香りを見つけた

それを伝えると

おんなは銀杏の香りもすると言って

ふにゃふにゃに弛緩した乳房に

あたまを持って来るように命じてきた






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