父親の親指/
はな
浴室の隅に転がっていたのは
父親の親指でした
切り落としたのは
たしか
ぼくです
浴室の空気は
薬物にまみれた粒子で満ちて
記憶は赤く爛れている
浴槽からは温かなお湯が溢れて
ピンク色の吐瀉物が流されてゆく
死んだかな
と
思ったので
ぼくは
父親の親指を
父親の親指を
父親の親指を
切り落としたのでした
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