pianissimo words./Akari Chika
 

わたしが摘んだ花に
あなたが水を差した

日 日
細々と つなぐ

わたしの
知識は乏しく
経験も乏しく

文明から見放された
そう悟る日もある

星が 屋根裏に落ちるとか
月が 二つに割れるとか

わたしの周りでは
そういうことは起きないが

あなたの笑顔が
何より奇跡だった

陽 陽
朗々と 照らす

わたしはピアノを弾いている

涙を落とす代わりに
鍵盤に指を落とし

あなたのための 曲を弾く

わたしは
数多くの言葉を扱う
術を知らず

あなたを
愛してる など

大変恥ずかしいので
言えないが

胸には 風が吹き
草が
延々と
生えている

その丘で わたしがピアノを弾くと

あなたは目を閉じて
耳を澄ます

この曲に
名前をつけることは 出来ないが

あなたは 名前を求めずに

ただ まぶたを閉じて
聴いている

わたしは
涙をこぼす 方法を知らないが

代わりにピアノを弾いている

ただ
延々と

あなただけの ために。


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