ノート(青と灰)/木立 悟
朝の虹が
ちぎれた雲の上にだけ見えて
鋼のかけらのようにただよい
光から 光から 離れてゆく
海の亀裂
雨後の花
浪に昇り
空に会う
海と同じ色の岩
海と同じ色の道
土も川も湖も光も
海と同じ色の音
青のなかの青は見えず
灰のなかの灰は震える
銀や鈍の文字となり
音のなかに流れひらく
色は音を連れてゆく
みな静かに遠くなる
青と灰は空の底から
まるくうずくまるものへと打ち寄せる
青は灰に
灰は青に地を巡り
ねむりつづける黄金から
話しかけられるように照らされている
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