月と闇とオカリナと/Oz
月夜に
オカリナが響いていて
それは
まるで
知らない感情を
はらんでいた
闇は
深く深く
街に
根付き
光を
受け入れたのなら
僕らは皆
死ななくては
ならない
路地裏の猫が
獲物をくわえ
家路を急ぐ
腹を空かせた
子供がいるのだ
獲物は
人間の指だ
ゴミ袋を破って
出てきた臓物は
全て腐っていて
指だけが
辛うじて
食べられる
具合を保っていた
猫は思う
もし人に見つかったら
私は殺される
人に害を及ぼす者とされるからだ
そこまでして
私は何故
子を思う
もしも
子が人に見つかったのなら
私は
子を食
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)