創書日和【熱】潜熱/
大村 浩一
ろうそくの明かりに
手をかざしながら
彼女の詩を聞いていた
途方もなく遠くへ
来てしまったけれど
あの時あの熱の中で
自分の手は自由に生きていた
熱を求めては
焼かれて弾かれる
炎はその度に揺れて
影はなおさら揺れて
ちいさな熱は
記憶のなかでずっと
手の甲と手のひらにある
2010/9/29
大村浩一
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