50メートル走みたいな、速さで/とんぼ
 
あなたは目を閉じない
じっとわたしを見てる
どんな風にキスをするか、どんな風に目をふせて、喘ぐか
優しさに満ちたまつげを愛に届きそうなくらい伸ばして
ね、
あなたの手のひらの熱もひたいで冷えた汗のつめたくてしょっぱいことも
全部わたしになる
ずるいよ

ふたえのシワの間にあなた、何を隠してるの
そんなに心を込めた光で、世界を照らしたりして

泣いたのははじめて
セックスの途中で
ころころとした涙に自分で驚いてから、ようやく、今幸せであることに気付いた

こんなことを、詩にするのははじめて
まだ始まったばかりの恋で
だけどこれが最上だと、わたし知っている


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