夏のおわりに/投稿者
 

夏は水平線めざしてかけていく
よろこびの鱗がはじけとぶ
その中をぼくもかける!
全力で!
さようなら
力のかぎり手をふる
さようなら!さようなら!
わたしの鱗もみんなはずれて
たくさんの鱗が空にかけのぼって太陽にかがやく

夏の太陽さようなら
夏の空さようなら
夏の匂いさようなら
夏の空気さようなら
夏の音さようなら
夏のくも!
夏のかぜ!
青い水しぶきと
陽炎と沸騰と蒸発と

世界はめまいがするほど美しい

夏のくじらは
夜になると地球から旅に出る
朝になると地球に着陸する
そんな当たり前の魔法
くじらの目は太陽で
くじらの細胞はぼくたちで
くじらはきらめく星をどんどん飲み込んで
どんどん吹き出して
花火みたいなシャワーの中で
踊るみたいに
笑い転げるみたいに
照れ隠しみたいに
祈るみたいに

人を愛するみたいに
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