恋愛遊戯/渡 ひろこ
いるように
カップについた口紅を
指でそっと拭うと
それが合図のように
彼は最後の煙草を灰皿にもみ消し
伝票を握りしめて立ち上がった
慌てて私も後を追う
外は師走の寒さが身にしみた
早足の彼にいつも私は
追いつくのに苦労する
小走りになりながら
やっと私の口から出た言葉は
「今夜は帰らなくていいんだけど・・・」
振り向きざまに少し笑った彼は
いきなり肩を抱き
唇を奪おうと顔を寄せた
突然の彼の行為に
思わず顔をそむける自分に
遊戯の終わりを見てしまった…
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