ぐるぐる/……とある蛙
 
京成金町の駅看板
その間のアーケード
寂れた一角に
金モールの看板

ケバイ電飾に縁取られた
ストリップ小屋
ケイトさんの薄汚れた
衣装とすらりと伸びた両足の間に
はげかかったおやじの頭が
薄ぼんやりと突っ込まれ

温泉旅館の大宴会場が
アーケードの下に広がり
大勢の湯治客が
ケイトさんの股ぐらを覗いている

突然、ゴトゴトという音
三両編成の京成電車が
ロータリーをぐるぐる回っている
空には水色の渦巻きが
ぐるぐるぐるぐる

この世界は二色刷の世界で、
朱と青の濃淡
後は黒インクの線描
斜線の濃淡でできた陰が
ケイトさんの淡い朱色の肌に
差し込まれる

リアルな風景だが
動きがコマ落ちのようで
僕はロータリーの近くに立って、
ぐるぐるを見ている

大山の看板には
丹沢山系が下手な絵で描かれていて
三両編成の京成電車は
相変わらずロータリーをぐるぐる
回っている

いつまでたっても
ぐるぐるぐるぐる
二色刷りのコマ落ちしたフィルムは
僕の網膜の中を
ぐるぐるぐる同じ光景を写している。
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